断熱材の種類を比較してみた 

断熱材の基礎知識

性能・特徴・コストを一覧で整理

リフォームや新築を検討していると、「断熱材って何を選べばいいの?」と迷う方は多いと思います。

グラスウール、ウレタンフォーム、フェノールフォーム……種類が多くて、カタログを見ても数字の意味がよくわからない。そんな経験はありませんか?

この記事では、主な断熱材6種類を「断熱性能・特徴・コスト」の3つの軸で整理してみました。材料メーカーで断熱材の開発に携わってきた立場から、できるだけわかりやすくお伝えします。


まず「熱伝導率」だけ覚えよう

断熱材を比べるとき、必ず出てくるのが**熱伝導率(λ:ラムダ)**という数値です。

単位は W/(m·K)(ワット毎メートル毎ケルビン)と書かれています。難しそうに見えますが、読み方はシンプルです。

数字が小さいほど、熱を通しにくい=断熱性能が高い

たとえば熱伝導率が0.020の材料は、0.040の材料の2倍の断熱性能があります。

これだけ覚えておけば、カタログの数字が読めるようになります。

なお、この記事に掲載している熱伝導率の数値はJIS規格(JIS A 9521・JIS A 9523・JIS A 9526)の規格値です。製品のグレードによって幅があるため、下限〜上限の範囲で記載しています。


主な断熱材6種類の比較一覧

断熱材熱伝導率 W/(m·K)断熱性能コスト主な用途
グラスウール0.031〜0.050★★☆安い壁・天井・床
ロックウール0.034〜0.045★★☆安い〜中壁・天井(耐火用途)
押出発泡ポリスチレン0.022〜0.040★★★床・基礎・外断熱
硬質ウレタンフォーム(板状)0.019〜0.029★★★★高い壁・屋根
硬質ウレタンフォーム(吹付)0.026〜0.040★★★高い壁・屋根(現場施工)
フェノールフォーム0.018〜0.036★★★★★非常に高い壁・屋根(高性能住宅)
セルロースファイバー0.040★★☆中〜高い壁・天井(吹込み工法)

出典:JIS A 9521(建築用断熱材)、JIS A 9523(吹込み用繊維質断熱材)、JIS A 9526(建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム)


各断熱材をもう少し詳しく見てみる

グラスウール

ガラスを繊維状にした断熱材で、日本で最も広く使われています。

良いところ

  • とにかく価格が安い
  • 施工業者が多く、対応できる工務店が豊富
  • 不燃性(燃えにくい)

気をつけること

  • 施工の丁寧さで性能が大きく変わる
  • 水分を吸うと断熱性能が下がるため、防湿施工がセットで必要
  • 高性能品(熱伝導率0.031程度)と標準品(0.050程度)では性能に大きな差がある

こんな人に向いている コストを抑えたい方、リフォーム予算が限られている方。ただし施工業者の腕と製品グレードの確認が重要です。


ロックウール

玄武岩などの岩石を溶かして繊維状にした断熱材です。グラスウールと見た目は似ていますが、耐火性がさらに高いのが特徴です。

良いところ

  • 耐火性・防音性が高い
  • グラスウールよりやや性能が安定している

気をつけること

  • グラスウールと同様、防湿施工が必要
  • 施工できる業者がグラスウールよりやや少ない

こんな人に向いている 防火性能を重視したい方、マンションのリフォームなど防音も気になる方。


押出発泡ポリスチレン(スタイロフォーム)

「スタイロフォーム」という商品名でよく知られているプラスチック系の断熱材です。板状に加工されています。

良いところ

  • 水に強く、湿気の影響を受けにくい
  • 加工しやすく、床下や基礎への施工に向いている
  • 高性能グレード(0.022程度)はかなりの断熱性能を発揮する

気をつけること

  • 燃えやすいため、室内側に使う場合は防火被覆が必要
  • グラスウールより高価

こんな人に向いている 床下の断熱リフォームを検討している方。水回りや基礎断熱にも向いています。


硬質ウレタンフォーム

プラスチック系断熱材の中でも高い性能を持ちます。板状製品と、現場で直接吹き付ける「吹付ウレタン」の2種類があります。

板状(JIS A 9521)と吹付(JIS A 9526)で性能が異なる点に注意

板状の高性能品は熱伝導率0.019程度まで達しますが、吹付タイプは現場施工のため0.026〜0.040の幅があります。

良いところ

  • 断熱性能が高い(特に板状の高性能品)
  • 吹付タイプは隙間なく充填でき、気密性も同時に上がる

気をつけること

  • 価格はグラスウールの2〜3倍程度
  • 吹付タイプは職人の施工品質が性能に直結する
  • 燃えやすいため防火被覆が必要

こんな人に向いている 断熱性能と気密性を同時に高めたい方。高性能リフォームを検討している方。


フェノールフォーム

現時点で最も断熱性能が高い断熱材のひとつです。ただし製品グレードによって性能差が大きく、高性能品(0.018程度)から標準品(0.036程度)まで幅があります。

良いところ

  • 高性能グレードはトップクラスの断熱性能
  • 薄くても高い断熱効果が得られる(高性能品の場合)
  • 難燃性(燃えにくい)

気をつけること

  • 価格が非常に高い
  • 取り扱い業者・施工業者がまだ少ない
  • グレード選びが重要(標準品と高性能品で性能が大きく異なる)

こんな人に向いている 壁の厚みを増やせないリフォームで最大限の断熱性能を求める方。予算に余裕がある方。


セルロースファイバー

新聞紙などの古紙を細かく砕いて綿状にした断熱材です。JIS A 9523(吹込み用繊維質断熱材)の規格品で、熱伝導率は0.040 W/(m·K)です。

良いところ

  • 防音性が高い
  • 吸湿・放湿性があり、壁内の結露を防ぎやすい
  • 古紙再利用でエコ

気をつけること

  • 施工できる業者が少なく、エリアによっては選択肢がない
  • 価格はやや高め
  • 断熱性能自体はグラスウール標準品と同程度

こんな人に向いている 防音性も気になる方、環境への配慮を重視する方。


結局どれを選べばいいのか

正直に言うと、「これが一番」という断熱材はありません。予算・施工場所・求める性能によって最適解が変わるからです。

ただ、選ぶときの考え方として参考にしてください。

コストを抑えたい → グラスウール 施工業者が多く、価格も安い。ただし施工品質と製品グレードの確認が必須。

床下のリフォーム → 押出発泡ポリスチレン 水に強く、床下環境に向いている。

性能と気密性を両立したい → 硬質ウレタンフォーム(吹付) 隙間なく施工でき、断熱と気密を一度に改善できる。

とにかく高性能にしたい → フェノールフォームまたは硬質ウレタンフォーム板状(高性能品) 予算が許すなら、高性能グレードで最大限の効果を。

どの断熱材を選ぶにしても、施工の品質が性能を左右することを忘れないでください。良い材料も、施工が雑では効果が半減します。


まとめ

断熱材を選ぶポイントをまとめます。

  • 熱伝導率の数字が小さいほど性能が高い(JIS規格値で比較しよう)
  • 同じ種類でもグレードによって性能に大きな差がある
  • コスト重視ならグラスウール、性能重視なら硬質ウレタン・フェノールフォームの高性能品
  • 施工場所(壁・床・屋根)によって向き不向きがある
  • どの材料でも、施工品質が最終的な性能を決める

断熱リフォームは一度やったらやり直しが難しい工事です。複数の業者に見積もりをとって、材料と施工方法をしっかり確認することをおすすめします。


この記事の熱伝導率はJIS A 9521・JIS A 9523・JIS A 9526の規格値をもとにしています。製品グレードによって異なります。断熱リフォームの最終的なご判断は、専門業者へのご確認をおすすめします。


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